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ヤマハ「セロー250」は新しい排ガス規制に対応するため、2017年に一度、生産を中止しています。2018年に復活を遂げたセローは一見、前モデルと外観を変えずに登場しましたが、その影には開発陣の涙ぐましい努力が隠されていました。

■ わずかばかりの違いでも「こんなのセローじゃない!」
2020年1月15日に“ファイナルエディション”が発売されたヤマハのロングセラーモデル「セロー250」は、2017年の際にも排ガス規制対応のため、一時生産を中止していました。

2018年に復活を遂げたセローは、モデルチェンジ前と大きく姿を変えずに登場しましたが、開発時には外観上からはわからない苦労があったと、ヤマハ発動機 PF車両開発統括ST開発部ST設計Grの橋本貴行さんは話します。

「セローは2017年に一時生産を中止しましたが、ヤマハには2018年モデル復活に向けた当時の開発資料が残されています。

開発評価の項目となるため、伏せ字とさせていた頂きましたが、このドラビリ評価結果で左がオンロード、右がオフロードの評価となります。この当時、一旦生産を中止させて頂いたのは排ガス規制に対応させるためです。

日本の法規の第三次排ガス規制、ユーロ4に近い値になっていましたが、ヤマハの都合上、当時はMTシリーズやトレーサー、XSRなど色々と開発リソースがあったため、セローは順番待ちという状況でした。

しかし、以前から「排ガス規制はくるんだけどセローは継続はしたいよね」ということで、実は先行開発していたんです。その先行開発メンバーが自分たちの考えたセロー・スペックってどうだよ? ということで、現行セロー(2016年モデル)に対してカムプロフィールや点火時期を変更、最終的には圧縮比も変えてしまっています。

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新しい排ガス規制に対応したヤマハ「セロー250」2018年モデルの開発資料 

結果として、プロトタイプの評価は現行セローに対してちょっと劣るよというようなものになりました。色々な評価項目があり、ほぼほぼ同じなんだけど、“でもね……“という感じでした。低速でのトルク感であったりとか、応答性の低下の指摘はあるけれど、僅かな差であると報告を受けていましたが、ヤマハのオフロードのテスティングスタッフは厳しいので“こんなのセローじゃないよ!”と言われてしまいます。

この時はあと少しということで開発を進めることになりましたが、このあと少しが泥沼でして、地獄の開発がスタートしたわけです。結局のところ、セローの敵はセローだったんです」。

■ ハード面の古さが仇になり「あとちょっと」が進まない
2018年に復活したセローは、2020年に発売されたファイナルエディションとハード的には同じものです。みなさんから見れば、“第三次排ガス規制に対応させただけでしょう? とか、キャニスターが付いてちょっと排ガスをキレイにしただけだよね? と思われるかもしれませんが、実はセローは2005年に基本的なハードを決めているためハードが古く、ユーロ2相当から一つ飛ばしのユーロ4相当に対応するにはなかなかやりきれない面がありました。

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大型になった新しいECUはバッテリー前方へと移動。キャタライザーからの熱外対策も行われています

例えば復活したセローではO2センサーを付けるためにピンの数を増やした新しいECUも採用していますが、このサイズが古いものよりも大きく既存の場所には収められないため、配置を変えています。

具体的にはバッテリー後方から前方に移動していますが、そうすると今度はマフラーに近くなってしまいます。ユーロ4相当に対応となると早期活性化のため触媒が熱くなってしまうため熱害の対策も行われました。

あとちょっとといったはずなのに、なかなか厳しかったことを思い出します。

また、当時は排ガスの他にナンバープレートの規制もくる予定があったほか、自動車工業会から弊社のセローとトリッカーはナンバーがかなり傾いているという指摘があったため、ナンバーを立てることにしました。

実はUS向けのモデルはナンバーが立っているんですけど、あからさまにアダプターがついていて野暮ったいんです。それで、営業サイドにUSのセローを見せて“こんな感じだけど、いいかな?”と話をしたところ、“ダメ”と言われてしまいました(笑)。そこで私の隣に座っていた開発員が“XT250Xのパーツを持ってくればいいんじゃやないの? そのまま付くし”ということで、XT250Xそのままではないんですが、それに近いかたちのテールを改めて作っています。セローはロングテールなので、強度には相当苦労しました」。

250ccのオフロードバイクというモデルの性質上、セロー250では排ガス規制対応に必要となる新たな装備などを搭載スペースが限られているため、改良にはかなり手間が掛かるといいます。

ある意味でセローの歴史の中で一つの節目となった生産中止の2017年、復活を遂げた2018年の影には開発陣の“地獄の開発“が隠されていたのです。

https://bike-news.jp/post/157562




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